「接遇」という言葉をご存知でしょうか。特にサービス業に関わる方にはなじみの深い言葉では?
その意味は「お客様に対するおもてなし」のこと。介護等の福祉のみならず医療業界は、今後この「接遇」が重要になってくると考えられています。
なぜ医療福祉に接遇が重要なのか、今後、業界がどのように変わっていくのかを知ることで時代の変化に対応した質の高い接遇を身につけていきましょう。

接遇は重要視されていなかった!今までの医療・介護福祉

患者として、利用者やその家族として、同業者として、関係者として・・・病院や介護施設などを訪れた際、対応に不満や疑問を感じたことはありませんか?
例えば

  • 目を見て話さない。むしろ挨拶すらしない
  • やたら馴れ馴れしい。敬語を使わない
  • ありがとうございました。的な言葉を聞いたことがない

  • どうでしょうか?全ての病院や施設が当てはまるわけではないでしょうけど、思い当たるところは多いのでは。
    ではなぜこのような対応をするところが多いのでしょうか?

    まず、医療業界は元来患者さんの病気やケガを治すという「治療」を目的としています。治療には専門の高度な知識や技術が必要であり、顧客の満足度を高めることがそもそもの目的ではないのです。つまり冒頭で挙げた「サービス業」として存在する業種ではなかったため、接遇そのものは個人の常識や必要最低限の社会人マナーとしてしか存在せず、組織として顧客満足度を高めるための接遇向上に取り組んでこなかったという歴史があると考えられます。
    そして介護業界は誕生した経緯に医療業界の影響を大きく受けています。そのため接遇意識も医療業界の通念をそのまま受け継いでいった背景があります。
    技術が求められる業種なら接遇など本来不要なものなのでしょう。
    ところが、介護業界はいち早く接遇の壁にぶち当たることになります。

    介護=高度な接客業だった!

    2000年に介護保険が施行された当初、介護業界はまだまだ「医療の下」というイメージが根強くありました。
    治療が大きな目的である、つまり介護の仕事そのものも「身体や病状を維持悪化させない」=「維持」にのみ大きく焦点を当てられていたということです。認知症を有する高齢者の行動を抑制したり、食事制限等がある方の意見がまったく聞き遂げられなかったりの背景はここに起因していると思います。とにかく例外を許さず平穏状態を維持することが介護の仕事であったのです。
    ところが、あくまで利用者とその家族の生活を支援することが介護の本来の姿。そんな状態が続けばどこかで軋轢が生じてきます。
    その結果が例えば事故の隠蔽であり、家族や行政に報告をしないor自己弁護的な報告をする、不信感が生じる、訴訟に発展したり不祥事が明るみに出るといったことに繋がっていきました。
    なぜ介護業界は介護保険制度施行後間もなくこうなってしまったのか。
    それは、介護というものは「利用者やその家族の望む生活(ニーズ)を把握して、できうる限り自立した(選択権、尊厳の保持)生活を支援するための専門職」である、その方の利益になるように働く仕事。接客業と近しい関係だったからです。そして医療的知識や個別の状態に対しての技術も求められるという接客業として非常に高度な対応力が求められるものでした。
    これが判明したのも、医療業界よりも介護業界のほうが生活に密着し、治療が直接的な目的ではなかった分だけ世間とのズレが明らかになるのが早かったのではないでしょうか。
    この流れに気付き始めた介護業界は接遇を意識し始めます。そして今、医療も接遇の必要性に気付き始めています。

    今後の利用者像の変化と業界の生き残り

    2025年には約3人にひとりが高齢者という超高齢社会が到来します。
    そして、その高齢者像は多岐に渡るライフスタイルの変化により非常にバラエティに富んでいるでしょう。
    昔ながらの高齢者=こういうケアというステレオタイプな対応を愚直に続ける施設はあっという間に「選ばれなくなり」淘汰されていくものと思われます。
    スマホ等の普及で情報の送受信と共有が非常に容易になり、いい情報も悪い情報もあっという間に拡散されることでしょう。
    悪い話が出回る施設や病院には当然誰も行きたがりません。その結果経営は苦しくなるでしょう。
    今後介護業界も医療業界もこのように接遇を疎かにすることで、顧客に選ばれなくなる世の中になるのです。
    ですが、本来人と接することが役割の医療、介護福祉の業界です。
    接遇にしっかりと目を向けることで他のサービス業にも決してひけを取らない高度な接遇を身につけることができるでしょう。

    医療福祉接遇インストラクターを所持しておりますので接遇力向上をお考えならお手伝いいたします。ご相談ください。
    接遇力向上研修